コラム

屋根が剥がれる原因と対処法|放置のリスクから修理費用まで徹底解説

2026/09/30 Wed

はじめに

剥がれたスレート屋根

強風の後や台風のあとに屋根を見上げると、屋根材の一部が浮いていたり、めくれ上がっていたりすることがあります。屋根材の剥がれは、外観の問題にとどまらず、建物内部への雨水浸入や、破片の落下による事故につながるおそれもある症状です。

一方で、屋根材の剥がれを口実に突然訪問し、不安をあおって高額な契約を迫る業者が存在するのも事実です。正しい知識がないまま契約してしまうと、不要な工事や不当な金額を請求されるリスクがあります。

この記事では、屋根材が剥がれる原因や放置した場合の危険性、屋根材の種類別に見た剥がれの特徴、そして修理方法と費用相場について、屋根の専門会社の視点から解説します。

屋根材が剥がれる主な原因

剥がれた瓦屋根

屋根材が剥がれる背景には、いくつかの要因が重なっています。

もっとも多い原因は、経年劣化です。屋根材を固定している釘やビスは、長年の紫外線や気温変化にさらされることで徐々に緩み、抜け落ちてしまうことがあります。固定力が弱まった屋根材は、わずかな風でも浮きやすくなり、最終的にめくれてしまいます。

次に挙げられるのが、強風や台風による物理的な力です。棟板金やスレート屋根の端部は、風の影響をもっとも受けやすい部分であり、瞬間的に強い力がかかると一気に剥がれることがあります。施工から年数が浅い屋根でも、施工不良があれば同様に剥がれが発生する可能性があります。

また、屋根材そのものの品質に起因する剥がれも見逃せません。2000年前後に流通した非アスベスト系のスレート屋根材の中には、製造から8年から10年ほどで層状に剥離してしまう製品が含まれています。パミールやコロニアルNEOといった商品名で知られるこれらの屋根材は、耐久性が著しく低く、部分的な補修を行っても別の箇所がすぐに同じ症状を起こしやすい点が特徴です。

屋根材の剥がれを放置するとどうなるか

一部が抜けたスレート屋根

屋根材の剥がれをそのままにしておくと、複数のリスクが積み重なっていきます。

屋根は、屋根材による一次防水と、その下に敷かれた防水シート(ルーフィング)による二次防水の二重構造で雨水の浸入を防いでいます。そのため、屋根材が多少めくれた程度であれば、ただちに室内へ雨水が入り込むわけではありません。ただし防水シートは紫外線にさらされ続ける想定で作られていないため、屋根材が剥がれた状態が長く続くほど劣化が進み、最終的には雨漏りへとつながってしまいます。

さらに注意が必要なのが、屋根材の破片が落下する危険性です。劣化した屋根材が割れて落下すると、通行人がけがをしたり、車やカーポートが傷ついたり、近隣の家に被害が及んだりする可能性があります。屋根としての機能が損なわれるだけでなく、建物本体の劣化にも影響を及ぼしかねません。

なお、屋根材が剥がれているからといって、自分で屋根に上って直そうとするのは大変危険です。建設業における墜落・転落による死亡事故は、全体の死亡者数のうち4割近くを占めるとされています。専門の職人であっても命に関わる事故が発生しているため、屋根への昇降や補修は必ず専門業者に任せるようにしましょう。

屋根材の種類別に見る剥がれの特徴と修理方法

一部が欠けて剥がれたスレート屋根

屋根材の種類によって、剥がれ方や適した修理方法は異なります。

スレート屋根の場合、風による部分的なめくれには「部分カバー工事」が有効です。既存のスレートを差し替えるのではなく、上から板金を被せる方法です。ただし劣化が広範囲に及んでいる場合や、屋根材自体が寿命を迎えている場合は、部分修理をしてもすぐに別の箇所が剥がれてしまうため、屋根全体をカバー工法や葺き替え工法で改修したほうが結果的に経済的といえます。

瓦屋根の場合は、瓦が一部だけずれたり欠けたりしている状態であれば、並べ直しや部分的な差し替えで対応できます。瓦を固定している漆喰が劣化している場合は、詰め直し作業が必要です。

金属屋根やアスファルトシングルの場合は、棟板金の浮きや剥がれが多く見られる症状です。釘の打ち直しとコーキング処理で対応できる軽度な状態であれば、比較的安価で修理できます。板金自体が変形したり劣化したりしている場合は交換が必要となります。

屋根全体をカバー工法で改修する場合や、既存の屋根を撤去して新しくする葺き替え工法のいずれの工事でも足場の設置費用が別途必要になる点も押さえておきましょう。台風や積雪といった自然災害が原因の剥がれであれば、火災保険の補償対象となる可能性もあるため、申請の可否を専門業者や保険会社に確認することをおすすめします。

修理の際には業者選びが重要です。こちらの記事で詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

八尾市で屋根修理を依頼するなら?失敗しない業者選びと修理のポイント

「屋根材が剥がれていますよ」と突然言われたときの注意点

一部が剥がれた屋根瓦

屋根材の剥がれをきっかけに、悪質な訪問営業が発生することも少なくありません。アポイントなしに訪ねてきて「今すぐ直さないと危険です」などと不安をあおり、その場で高額な契約を結ばせようとする業者には注意が必要です。

こうした業者への対応としては、まず質問にその場で答えないことが挙げられます。会話を続けるうちに相手のペースに巻き込まれ、契約へと誘導されてしまう可能性があるためです。

次に、業者を安易に屋根へ上げないことも重要です。屋根に上がられてしまうと、問題のない箇所を「壊れている」と説明されたり、別の建物で撮影した写真を使って不安をあおられたりするリスクが高まります。屋根の状態は、地上から見える範囲で説明してもらうようにしましょう。

加えて、その場で一人だけの判断で契約しないことも大切です。屋根材の修理は緊急性が低いケースが多いため、家族に相談したり、複数の業者から見積もりを取ったりする時間を確保しても遅くはありません。

万が一契約してしまった場合でも、契約書を受け取ってから8日以内であればクーリング・オフ制度を利用して解約できます。期間を過ぎてしまったときも、消費者ホットラインや住宅リフォーム紛争処理支援センターなど、公的な相談窓口へ連絡することで解決の糸口が見つかることがあります。

まとめ

屋根材の剥がれは、経年劣化による固定力の低下、強風や台風による衝撃、屋根材自体の品質といった、さまざまな要因によって引き起こされます。すぐに雨漏りへとつながるとは限らないものの、放置すれば防水シートの劣化や破片の落下事故など、より大きなトラブルへと発展する可能性があります。異変に気づいた際は、自分で屋根に上らず、専門業者による点検を依頼することが安全です。

修理方法や費用は、スレート・瓦・金属屋根といった屋根材の種類や、剥がれの範囲によって大きく異なります。事前に相場を把握しておけば、業者から提示された見積もりが適正かどうかを判断しやすくなるはずです。

また、突然訪問してきて不安をあおる業者には、その場で契約しない姿勢を貫くことが何より重要です。複数の業者に相談し、納得できる説明と見積もりを得たうえで、屋根材の修理を依頼することをおすすめします。日頃から屋根の状態を気にかけ、定期的な点検を行っておくことも、思わぬトラブルを未然に防ぐための有効な備えとなるでしょう。

この記事は「蜷川 徹」が
書いています。
1983年生まれ、一級建築板金技能士。
父の元で技術を学び、2020年に家業を継ぎました。
25年以上のあらゆる現場で培ってきた豊富な知識や技術、経験で、『見えない所こそ丁寧な技術を』をモットーに、地域のお客様のニーズに応じた快適な住まいづくりをサポートしています。
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